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ファイナンシャルプランナーに聞く お金と幸せの大事な関係 モノを買う幸せと、経験や感動を買う幸せ、どっちがいい?

幸せを研究するウェルビーイング学

今まで、幸せというのは言葉で語ったり数字で示せるものではない、と考えられてきました。
ところが近年、幸福学(ウェルビーイング学)という分野があらわれ、幸福を形作る要因を数値で分析する試みが進んでいます。
例えば、独身者と既婚者はどちらが自分を幸福だと考える傾向があるのか、子どもの存在は既婚者にとって本当に幸福感をもたらすのかなど、理屈だけでは分からない分野に切り込んでいる興味深い学問です。
ウェルビーイング研究は政策面においても注目されています。「国民を幸せにするために政策を効果的に行う」視点でウェルビーイング研究の成果が役立てられています。
このテーマ、私たちの「お金と幸せ」について考えるときにもたくさんのヒントを得られます。

モノを買う幸せはすぐにすり減ってしまう

例えば、「モノを買う(所有する)幸せ」と「経験を買う幸せ」を比較してみます。
よく「物欲」といいますが、ストレスの解消のために散財をする人がいます。お金を使うと幸せが手に入ることは誰でも実感しているはずです。
一方で、モノそのものを手にすることに消費の力点を置いてしまうと、これは急速にしぼんでいくことが明らかになっています。所有にひもづく幸福はあまり長続きしないのです。
このとき、「また別のモノを買う」こと、そして「もっと高いモノを買うこと」がもう一度幸せを手に入れる手段となります。金額ではたくさんのお金を必要とするのに、幸福感はやっぱりすぐに消えていくことになります。あまりいいお金の使い方ではなさそうです。

経験、感動から手に入る幸せを意識的に買おう

だとしたら、私たちは何にお金を使うべきでしょうか。あなたが自分自身の幸福度、ウェルビーイングを高めたいと思うのなら「経験」や「感動」を買うことを意識してみましょう。
高校生や大学生のとき、初めての彼氏(彼女)ができてデートに出かけたとします。予算はせいぜい数千円です。映画代、お茶代、ファミレスのご飯代くらいでしょう。しかし、楽しかった「経験」からもたらされる幸福度はその後何十年も引き継がれることになります。
経験や感動は、長く幸福度をもたらすことがウェルビーイング研究では明らかになっています。これが分かれば、お金の使い方はぐっと変わってきます。
文学を楽しむ読書、アニメや映画・劇等の鑑賞、美術展等のチケットは、お金を使っていますがその根っこにあるのは「経験や感動を買う」ことです。だからチケット代以上に幸せが手に入るわけです。
旅行のように家族や友人との時間から得られる幸せもお金を出す価値があります。その友人との旅行、一生に何度あるか分かりません。だからこそ、お金を使ってもいいのです。
モノを買ったとしても、デジカメを買うことが幸せを生むのではなく、デジカメで記録した「楽しい記憶」が幸せをもたらすと考えてみましょう。もし何千枚もの写真が、たくさんの記憶を残してくれるのなら、デジカメやスマホは十分に価値のある支出となります。若いとき、子育て期、年金生活、それぞれに感動のあり方は異なりますが「モノの所有より、経験や感動」を意識してみましょう。きっとお金の使い方が変わってくるはずです。
そして、今までよりもたくさんの幸せを集められるようになるはずです。

  • 山崎俊輔氏
  • profile

    フィナンシャル・ウィズダム代表
    山崎俊輔 氏
    特に確定拠出年金とリタイアメントプランに強いファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。年金教育家、投資教育家として執筆・講演を通じて活躍中。わかりやすさと親しみやすさ、ユニークな視点に定評があり、講演についても柔和な語り口が好評を博している。

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